娘の社会科見学
私の娘は、都内で公立小学校の教諭をしている。要するに、小学四年生を受け持つ先生なのだが、彼女は、私や主人が先生というと、教諭だってば!とムキになって怒る。どうやら上司に、先生と言うな、教諭と言え、と新米時代に叩き込まれたようだ。
そんな娘に、来週の水曜日にお弁当を作ってもらえないかと頼まれた。何でも、来月の社会科見学の下見に、先輩教諭と同僚と行くのだそうだ。
どこに行くのか聞いてみると、熱圧着や拡散接合をしている工場だと言う。
熱圧着や拡散接合って、具体的にはどういう工場なの?と訊いてみたら、娘は困った顔をして、私にも、まだ良く分かってないのよねぇ、でも、その筋ではとっても有名な工場らしいのよね、と言う。主人が思わず吹き出し、おいおい!お前がそんなんで、大丈夫なのかい!?と茶々を入れると、娘はふくれっ面で、いいのよ、私の担当は、工場見学の後で、お弁当と遊びのために行く、大きな公園でのレクリエーションタイムだから!と開き直っている。
とにかく、事前に工場の方達にしっかり教わって、文系の自分にも理解できるようになれば、当日、児童たちにも分かるように、何とか説明できるでしょう、と言っていた。
そんなことより、お母さん、お弁当には特製の甘い玉子焼きと鶏肉のチーズ巻き、必ず入れてね!お母さんのお弁当なんて、いつ以来かなぁ?楽しみ~!と、お気楽な調子で、ポテトチップスを口に放り込みながら、自室に引き上げていった。
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