整形外科の明るい光
父は長年心臓を患っていて、私が子どもの頃から循環器科に入退院を繰り返してきました。その病気の治療に関して権威と言われる医師により手術を受け、それでも何度も生死の境をさまよったほどです。
そこまで重症の患者が多く入院している大病院なので、亡くなる方も多く、病棟にはしばしば沈鬱な空気が流れていました。
「怖くて悲しいことがいっぱいある。」それが私の子ども心に植えつけられた病室のイメージでした。
ところで20代後半の頃、私は初めて入院を経験しました。骨折だったので、整形外科です。
救急車で運び込まれ、レントゲンを撮って即入院を宣言された時、父の病室のイメージを思い出しました。そして家で安静にするから帰らせてほしいと医師に訴えましたが、もちろん却下。入院生活は怖々と始めることになりました。
怪我をした当日は痛みに耐えるのに精一杯で、4人部屋でしたがカーテンを閉め切ったままでした。
しかし翌朝、食事の時間に看護師がカーテンを開け他の3人と顔を合わせると、驚くほど和やかな雰囲気です。みんなよくしゃべるし、よく笑います。
考えてみると、整形外科というのは基本的に「回復していく場」なんですよね。
事故で複数個所を骨折し、歩けるようになるには一年以上かかるという方もいましたが、やはり少しずつ治癒していくんです。希望がありました。
入院するほどですから、それぞれに辛いし苦しいです。けれども希望のある明るい病室のおかげできついリハビリも前向きに頑張れたし、良い場所で気力を養えたなと思います。
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